令和3年2月26日、厚生労働省から「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取り扱い(その35)」が事務連絡で発表されています。
各医療機関は新型コロナウイルス感染症の侵入や院内感染を防ぐために、徹底した感染対策が必要で、そのコストは今までの感染予防策に掛けてきた費用の比ではありません。
当然、その費用に対しては国からの補助金・交付金という形で補填されてきていますが、他方では、患者側から医療機関への受診抑制、または医療機関側から患者側への受診抑制が行われ、結果として医療機関の大幅な減収に繋がっていることは、報道などで知れ渡っている通りです。
そこで医療機関の減収や感染防止対策コストが生じていることを踏まえ、令和3年4月から9月診療分まで、医療機関経営を広範に支援する診療報酬上の「臨時的特例措置(通常の診療報酬にさらに上乗せ)」が発動されることとなりました。
ただし特例措置にも条件が付帯されています。その条件とは、
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」等を参考に、感染防止等に留意した対応を行うことです。
感染防止に留意した対応とはどのようなものでしょうか。例として以下のようなものがあげられます。
・状況に応じて、飛沫予防策や接触予防策を適切に行う等、感染防止に十分配慮して患者及び利用者への診療等を実施すること。
・新型コロナウイルス感染症の感染予防策に関する職員への周知を行うこと。
・病室や施設等の運用について、感染防止に資するよう、変更等に係る検討を行うこと
(厚生労働省 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その35) 問1の回答より)
簡単に言えば、新型コロナウイルス感染症を疑う患者が来院した際の手順書や感染予防策を講じる準備ができていること、それを職員に周知する勉強会等の実施をしていること、感染防止について最新情報を入手し、必要に応じて検討や変更を行える体制ができていることなどが条件となります。
では、どこが上乗せされるのかというと
☞ 初診・再診(医科・歯科)などの診察料:1回の診察当たり5点
☞ 入院基本料:入院基本料に関わらず1日当たり10点
となります。
来院される患者全てにおいてウイルスを保有している可能性があり、呼吸器症状や発熱などのない患者であっても、通常よりも手厚い感染防止対策をとって診療等をしなければならないことなどから、現在実施されている各医療機関において十分なコロナ感染防止対策を実施していれば算定することが可能です。
(出典)
厚生労働省
新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その35)
(参考文献)
厚生労働省
【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第4.1版】
writer:コンサルティング事業部