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2023-08-21

医療法人の買収は可能?【ビジネスモデル、手続き、費用、リスクについての基礎知識】

医療法人の買収は、病院経営における赤字化や安定した医療提供を目指す考えから、増加傾向にあります。また医療法人は非営利団体であることが基本ですが、株式会社をはじめとした営利団体が医療法人を買収することで、病院経営に参入するケースも増えています。

いずれの場合も、医療法人は正しい手続きを踏めば買収が可能であり、成功させるには慎重に費用や手続きについて検討することが不可欠です。今回は、医療法人の買収における手続きや費用について基礎から解説します。

医療法人買収の基本

日本国内において、医療法人は非営利目的での設立や運営が認められています。しかし病院経営は施設維持費や医療設備の配備のほか、医療従事者や運営スタッフの人件費などお金に関する課題は膨大です。また少子高齢化に伴う医療従事者の後継者不足や急速に進む物価高など、従来の手法では病院経営そのものが困難になりつつあります。

それらの課題に対処し経営の安定化を図るため、買収やM&Aを検討する医療法人や団体が増えています。医療法人を買収することで、病院経営のノウハウが豊富な団体に経営を任せられ、安定した医療提供を目指すことが可能です。

医療法人とは何か

そもそも医療法人とは、医療法に則り医療従事者が医療提供を行う病院を経営する団体を指します。設立や運営には都道府県知事の認可が必要であり、国民の健康維持に寄与するため、設立方法や運営方法について法律で細やかに定義づけられています。

・営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては開設許可を与えないことができる。(医療法第7条6項)・医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。(医療法第54条)※引用:G-GOV|医療法

病院は地域になくてはならないインフラの1つであるため、剰余金の配当が不要であるなど非営利での経営が認められています。さらに平成19年4月より、出資者に資産所有権がある持分所有ありの医療法人の設立ができなくなり、医療法人の非営利性を高める動きはさらに加速化しています。

医療法人買収の手続き

医療法人を買収するには、さまざまな手続きが必要であり、計画的に進めなければいけません。地域への安定した医療提供や安定した病院経営の基盤を確固たるものにできるよう、買収の準備を進めましょう。以下からは医療法人を買収するうえでの準備や手続きの流れについて解説します。

買収を始める前に知っておくべきこと

医療法人の買収には複数の手法があり、買収の目的を明確化したうえでどのような形で買収するか決めておく必要があります。

・事業譲渡:買収先の一部またはすべての財産や事業を譲渡する手法

・合併:2つ以上の医療法人を契約交渉により1つの医療法人として集約させる手法

・出資持分譲渡:医療法人が出資されている財産を売却する手法

・役員交代:経営者を入れ替えるのみで病院経営はそのまま継続する手法

選択する手法によって、行政手続きの手順や都道府県・医療審議会への事前相談の必要性が異なります。病床を引き継げるかどうかにも違いがあるため、慎重に検討したうえで買収方法を選択してください。

なお買収における手続きや手法については、医療法人M&A専門の仲介業者やアドバイザーを頼ることがおすすめです。手続きにおける手順や相手団体との交渉を任せられるため、仲介業者に相談すればより計画的に医療法人の買収を成功させられるでしょう。

重要な買収手続きの詳細

医療法人の買収における主な流れについて、詳しく解説します。

・M&A仲介会社等を介して買収について相談する

・買収先とマッチングのうえ、買収先を選定する

・機密保持契約を交わしたうえで、詳細な条件を交渉する

・基本合意が整ったら、病院の買収価格や収益性を検討する

・買収先の病院の価値を詳細に評価する(デューデリジェンス)

・最終交渉のうえ、買収契約を締結する

・M&Aを成立させる(クロージング)

M&A仲介会社に相談すれば、買収先の病院の選定から実際の交渉・手続きまで幅広くサポートを受けられます。特に医療法人はただ買収し拠点を広げるだけでなく、その病院の収益性も加味して、負債になるリスクの少ない医療法人を買収することが大切です。

買収時の条件や流れ、買収価格についても交渉次第で大きく変わるため、医療法人のM&Aや買収に関して豊富な知識やノウハウを持つ仲介会社の手を借りて進めましょう。

医療法人買収の費用

医療法人の買収において慎重に検討しなければいけないのが費用面です。買収費用は買収先との交渉や、買収先の医療法人の設備や医師の在籍状況、収益性の高さなどによる価格評価により検討することが大切です。

ここでは医療法人の買収における費用面の検討方法や費用を削減するためのポイントについて、5つのポイントで解説します。

買収交渉の進め方とポイント

医療法人の買収を進めるポイントとして、以下が挙げられます。

・3年以上の長期的なスケジュールを立てて進める

・医療従事者の引き継ぎや労働契約について明確にしておく

・従業員や経営陣とリスクも含めて誠意をもって交渉する

・機密保持や契約条件を必ず守って交渉する

医療法人の買収は買収先の検討から交渉、法的な手続きまで手順が非常に複雑で、買収の合意が取れたとしても、手続きに1年以上掛かることが珍しくありません。そのため買収先の選定段階からスケジュールを立てるなら、3年以上を見積もっておくことが大切です。

また買収にはリスクが付きものであり、買収される側の経営者や従業員は今後の働き方や労働条件について不安を抱えています。引き継ぎや労働条件によっては、引き続き働いてくれるはずの医療従事者が不安を覚えて離職してしまう可能性もあるため、交渉段階からリスクや雇用条件について誠意を持って伝えましょう。

買収費用の内訳と見積もり

基本的に医療法人の買収価格は、時価純資産をもとに評価します。その病院の設備や不動産的価値、営業権の価値をもとに検討されるため、ビジネスや経営における専門家に頼って評価額を設定する必要があります。

また病院の資産価値や将来性、交渉条件によって買収価格の評価方法は変わります。特に実績豊富で著名な医師が在籍していたり、近隣の医療施設との連携が取れており地域でも評判の病院であれば、買収費用は跳ね上がるでしょう。買収費用は買収する側だけで決めるのではなく、内訳や見積もり方法について買収される側にも明らかにしながら慎重に交渉することが大切です。

費用削減のための効果的な手法

資産価値の高い医療法人は買収価格が高額な傾向がありますが、買収する際はなるべく費用を削減したいのも事実です。医療法人の買収における費用を削減するうえで大切にしたいのが、以下2つのポイントです。

・従業員の退職金などをあらかじめ捻出し病院の純資産を極力減らしたうえで買収する

・従業員や医療設備を極力引き継ぎ、運営資金や開業資金を削減する

医療法人の買収価格は、その病院の資産価値によって評価する場合が多く存在します。特に出資者に資産所有権がある持分所有ありの医療法人は、買収価格が高額になればなるほど税的負担も増えるため、あらかじめ退職金や役員報酬を捻出し、限りなく資産を減らしたうえで買収・売却することが大切です。

また医療従事者をはじめとした従業員や医療設備をそのまま引き継ぐことができれば、採用コストや設備投資費を抑えて事業を拡大でき、結果的に病院運営におけるコストを削減できます。

医療法人買収のリスクマネジメント

医療法人の買収には、交渉の破談や買収後の想定外のトラブルなどさまざまなリスクが存在します。長きにわたって交渉してきたにもかかわらず、手続き手前で破談になり買収がふりだしに戻ったり、負債や運営における不備があとから判明し訴訟問題に発展する恐れもあります。

そのため医療法人を買収する際は、リスクマネジメントのため以下の手法を取り入れることも大切です。

・買収先の医療法人の経営実態について細やかに調査しておく

・買収先の従業員のモチベーションや離職リスクについて調査しておく

・買収において譲れない条件や目的について明確化しておく

買収先の経営実態はもちろん、離職リスクの有無についてもあらかじめ調査しておく必要があります。また買収の目的や譲れない条件をあらかじめ共有しておけば、買収や病院経営における考え方の相違に早い段階で気づける可能性が高まります。

医療法人の買収は交渉段階はもちろん、買収後もリスクやトラブルが存在するため、事前の準備や交渉を念入りに行って進めましょう。

医療法人買収の法律とルール

医療法人は非営利団体としての経営ルールが、医療法で明確に定められています。それら法律やルールに抵触すると、運営停止の処分を受けたり行政指導が入る可能性も存在するため、医療法人としての運営ルールや買収における法律は必ず確認しておきましょう。

特に株式会社をはじめとした営利団体が医療法人を買収する場合、病院経営におけるルールを正しく把握したうえで、人員配置を進める必要があります。また買収にあたって法律的に問題がない人員を医療法人の社員に据えたとしても、営利事業を推進すれば自治体による監査が入ったり、運営許可を取り消される恐れもあります。

非営利団体の枠内で病院経営を続けられるよう、念入りに法律を確認して買収交渉を進めてください。

医療法人の買収に関するお悩みはMMCがおすすめ

医療法人を買収する際は、非営利法人である病院の運営における法律やルールをいま一度確認したうえで、トラブルがないよう進めていく必要があります。交渉や手続きには期間も要するため、3年以上を目安にスケジュールを立てて、計画的に買収交渉を進めましょう。

トラブルを避け計画的に買収を進めるうえでおすすめしたいのが、医療法人の買収ノウハウが豊富な仲介会社に相談することです。MMCは病院のM&Aに関する独自のノウハウを持ち、相談いただいた医療法人にスタッフが直接赴き、経営や買収の相談を承っています。医療法人の買収における交渉や手続きに関する指導も行っているため、病院経営にお悩みの方はぜひメール相談からご利用ください。

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