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運営・コンサルティング 医療
2023-09-26

病院の赤字問題を徹底解析!原因から潰れない方法までを網羅的に説明する

病院の赤字化は近年深刻な問題となっており、医業利益が赤字化している病院は8割を超えるとのデータもあります。特に地方病院では医療に対する需要や人口変化に対応が追いつかず、患者が離れていくケースも少なくありません。

病院の赤字問題から脱却するには、赤字化の原因を正しく把握して、患者が離れない病院作りを目指すことが大切です。今回は、病院が赤字化してしまう原因とともに、赤字化を脱却する具体的な戦略やアプローチについて解説します。

病院が直面する赤字の背景

近年、病院や医療を取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、医療における需要変化に追いつけず患者が離れていくケースが増えています。まずは昨今の病院が直面している医療現場の変化について解説します。

現代の医療業界の経済的課題

急激な物価高や医療報酬の改正に伴い、現代の医療業界では経営がままならない病院が増えつつあります。

・物価高による経費や設備維持費の増大

・少子高齢化に伴う人件費の増大

・医療報酬の改正による報酬の厳格化や縮小化

経費や設備維持費は物価高、水道光熱費の増大に伴い、病院経営における出費はどんどん膨らんでいます。しかし保険診療で行う治療は、公共の福祉を守るため医療報酬として国で定められており、規定の報酬しか請求できません。

医療報酬は定期的に見直され、なかには減額される診療項目も存在します。これにより経費は増えているのに請求できる医療報酬は厳しくなっていることが、病院経営の赤字化に繋がっている理由の1つです。

患者ニーズとのミスマッチの影響

急速に進む少子高齢化など、医療の現場で求められる対応は年々移り変わりを見せています。なかでも代表的なものが、少子高齢化に伴う在宅医療や介護医療の需要増加です。少子高齢化により高齢者の医療需要が高まっているほか、地方では過疎化が進み従来の病床数では維持費ばかりがかさむ場合もあります。

患者のニーズと病院で提供できる医療にミスマッチがあれば、患者は自分に必要な医療を受けられる病院を探し、他院へと移ってしまうでしょう。近年ではインターネットの普及により、口コミや診療内容をもとに自分に合った病院を簡単に探せるようになったからこそ、地域の患者ニーズに対応できていないことは、患者が離れ病院経営の赤字化を加速化させてしまいます。

医療技術と高額設備投資のジレンマ

患者のニーズに応えるために設備や診療項目を増やそうと計画しても、設備投資に掛かる費用が高額で目指す医療を提供できない病院も存在します。物価高の影響により病院の維持に掛かる経費が増大しているなかで、需要が高まっている新たな診療項目や医療のため設備投資することは、非常に難しい課題です。

これにより「患者に必要な医療設備を増やしたいけれど予算の都合上増やせない」とジレンマを抱える病院も増えつつあります。

病院経営赤字の主な原因は?

病院経営が赤字に追い込まれる主な原因として、3つが挙げられます。以下からは病院が赤字化する原因を3つ、ポイント別に解説します。

患者数の減少

少子高齢化や地方の過疎化に伴い、患者数は減少傾向にあります。また近年では新型コロナウイルスの感染拡大により診療を控える人が増えるなど、患者数が減る原因は多く存在します。患者数が減少すれば、診療報酬も減少してしまうため病院の収益は赤字化してしまうでしょう。

人件費上昇と医療スタッフの問題

少子高齢化に伴い現場の平均年齢が上がれば、必要な人件費は増加します。しかし病院のなかには、赤字化や経営難を理由に会社員と同程度の待遇や給与しか用意できない病院もあります。十分な給与が与えられなければ医療スタッフの離職率は上がり、さらに人手不足や医療提供の質の低下が加速化する、負のスパイラルに陥る場合もあるでしょう。

医療サービスの質と料金のバランス

十分な人件費や設備費を掛けられなければ、医療サービスの質は低下してしまいます。しかし診療報酬は国に定められた金額であるため、患者のなかには「料金が同じならもっと質が良い病院に移りたい」と考え転院を決断する方も増えるでしょう。患者の満足度が高い医療提供を行いたくても、経費の増大などにより思うように医療提供できない現状も、赤字化の原因の1つです。

実際に赤字を解消することで潰れない病院の成功事例

全国的に赤字化に陥る病院が増えつつありますが、なかには赤字化を解消し、安定した黒字経営を実現している病院も存在します。赤字経営を解消した病院の成功事例についてご覧ください。

効果的なマーケティング戦略の採用

地方都市に施設を構える病院Aは、人件費削減と診療内容の周知を目的に、インターネットを活用した集患システムを導入しました。病院Aは駅近であり、また周辺病院には少ない夜間対応を行っていることを積極的にWEB広告に打ち出すことで、患者数の増加に成功しています。

病院の赤字を解消するうえで重要なのが、強みを積極的にアピールして地域患者に周知することです。病院Aは夜間対応を強みにWEB広告で広く周知させるマーケティング戦略を取り、患者数の増加に成功しています。

新しい収益モデルの導入

病院Bは保険診療を中心に医療を提供していたものの、経費増大による慢性的な赤字化を解消するため、病院にフィットネスジムを併設しました。ジムは運動による筋肉や関節を痛めた人向けのサポートやトレーニング監修を行っていることも周知。コロナ明けで健康や筋トレに興味を持つ人が増えつつあること、高齢者の運動需要が増えていたことから、ジムは周辺住民の利用者も多く、より地域に根差した公共施設として運営に成功しました。

病院の収益は保険適用が中心ですが、収益を高める点に着目するなら、保険適用外の自由診療や医療関連施設の展開も戦略の1つです。病院Bはより地域に根差した施設として運営するため、フィットネスジムを併設することで、ジム運営による新たな収益流入に成功しています。

患者とのコミュニケーションの強化

病院Cは地域に根差した医療を提供するため、患者と医療スタッフのコミュニケーションを強化する方針を立てました。継続して病院に通ってもらえるよう、病院Cは医療スタッフに患者への声かけやコミュニケーションを強化することを方針として周知。さらにカウンセラーやスタッフを増員するなど、患者との対話の機会を増やすことで患者の定着率の向上に成功しました。

患者数の減少を防ぐため、より患者に求められる医療を提供できるよう、患者と医療スタッフのコミュニケーションを強化することも有効な戦略です。患者が「この病院なら相談しやすい」と感じられる連携方針を取ることで、患者数の確保を目指せます。

赤字解消!潰れないための実践的アプローチ

病院経営の赤字を解消するためには、経費の使い方や医療の提供方法を工夫するなど、複数のアプローチ方法が挙げられます。以下からは病院を黒字経営に導く実践的なアプローチについてご覧ください。

コスト削減のための具体的方法

保険診療は請求できる医療報酬が限られているからこそ、コストを削減する工夫を取り入れることが大切です。

・病床数や診療内容が患者のニーズと合っているか検討する

・従業員の昇給制度が適切であるか検討する

・必要のない医薬品や医療機器に多額のコストを掛けていないか検討する

医療の需要は目まぐるしく変わっているからこそ、こまめに経費の使い方を見直すことは重要です。定期的に経費の使い方や使用していない病床や医療機器が無いか検討したうえで、必要な部分に経費を回せる体制を築きましょう。

新しいサービスや治療法の開発

在宅医療や介護医療など、医療業界で需要が高まっているサービスは多く存在します。また治験や透析治療など高度医療への関心も高まりを見せており、対応の少ない診療科目を導入すれば、地域住民だけでなく広く集客を目指せるでしょう。

少子高齢化が進み、患者数が減少傾向にある今だからこそ、需要の高い診療項目や対応している病院が限られている診療項目に対応することで、より多くの患者を集められます。患者数が増加すれば収入を高めることにも繋がるため、集客を見込める診療科目の導入を検討してください。

外部リソースとの連携強化

周辺のほかの病院や診療所、医療現場で役立つITシステムの導入など、人手不足や診療科目の増加に伴い、外部リソースを導入することも選択肢の1つです。周辺の病院や診療所との連携体制を築けば、双方の強みを活かし、より患者に合った医療を提供できるよう病院間で患者の受け渡しや紹介を行えます。

さらに慢性的な人手不足や業務負担の軽減のため、カルテ管理や情報共有、患者の予約管理を自動化できるITシステムを導入すれば、人件費の削減や離職率の低下を目指せるでしょう。

医療業界の最新トレンドとその影響

安定した病院経営を目指すには、現状維持ではなくトレンドや社会情勢を正しく把握し、最新の動向に合わせた受け入れ体制へと強化し続けることが求められます。以下では医療業界の最新トレンドや、トレンドに即した受け入れ体制の強化方法についてご覧ください。

政府の医療政策の動向

保険診療の医療報酬は政府によって定められていますが、その金額は「患者が必要な医療を受けられるように」と減額改定される項目も多く、医療提供に掛かる経費と釣り合わず経営難に陥る病院が多く存在します。さらに新型コロナウイルスの感染拡大により医療の現場はひっ迫し、2022年の調査では「新型コロナ関連の補助金がなければ経営が成り立たない」という病院が7割を超えています。

医療報酬の厳しい改定は今後も続くことが予測され、医療の現場では診療報酬や入院料金の引き上げを求める声も上がっています。保険診療だけでは経営難に陥る病院は多く、赤字経営を脱却するため、自由診療をはじめ保険診療外のサービスを導入することの重要度が高まっていることが現状です。

参考:全日本病院協会|医療機関経営状況調査

技術革新の進展とその影響

医療業界はもちろん、近年ではIT分野の革新もめざましく進んでおり、医療の現場にITシステムを導入する病院も増えつつあります。医療現場では慢性的な人手不足と経営難により、過酷な労働環境と上がらない給料から離職する医療スタッフも多く存在します。

しかしITシステムを導入し、患者の予約やカルテの管理などの業務を自動化すれば、人手不足の解消が実現可能です。また近年ではオンライン診療やAI技術の導入など、医療現場で役立つ新たな技術がどんどん登場しており、それらを効果的に導入することも、安定した病院経営において大切なことです。

患者の変化するニーズと対応策

時代の変化に伴い、患者が病院に求める診療科目や受診システムは移り変わりを見せています。特に近年では少子高齢化に伴う介護事業や在宅医療の需要が高まっているほか、都心では夜間診療の需要も高まりつつあります。そのなかで、患者が求める医療を提供できる病院は患者が集まり、収益を高めることにも繋がるでしょう。

黒字化から経営安定へMMCで相談できる

病院はおよそ7割を超える施設が赤字に悩まされており、この状況は今後も続くことが予測されます。病院経営を安定させ赤字を解消するには、患者の需要を見直し必要な医療を提供できる体制を目指すことが重要だといえます。

しかし病院経営者のなかには、「どこから手を付ければいいのかわからない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。MMCは独自のノウハウを持つスタッフが実際に病院に赴き、具体的な事業計画を提案しています。病院の赤字解消や経営再建など、幅広くコンサルティング支援を行っているため、病院経営にお悩みの方はぜひご相談ください。

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