クリニック継承とは何か？成功させるための手続きや費用相場、注意点

独立や開業を検討している医師の方におすすめの選択肢の1つとして、クリニック継承が挙げられます。クリニック継承とは、すでにあるクリニックや医療法人の経営を引き継いで運営することを指します。

本記事では、クリニック継承とは何か解説するとともに、継承を成功させるための方法や注意点を解説します。クリニック継承における費用やメリット・デメリットについても触れているため、クリニックの独立や開業を目指している方はぜひ参考にしてください。

クリニック継承とは何か

クリニック継承とは、独立や開業を考えている医師が既存の病院やクリニックを引き継ぐことを指します。継承は親子や親族で行う場合もあれば、知人の医師や仲介業者を通じて知り合った第三者から引き継ぐ場合もあります。

クリニックを継承すれば、医療設備やスタッフもまとめて引き継げるため、開業コストを大幅に抑えられることが魅力です。ただしクリニック継承は交渉や手続きに膨大な時間がかかる場合もあるため、慎重に進める必要があるでしょう。

クリニック継承の流れ

・開業における条件や時期を具体的に検討する
・クリニックや病院専門のM&Aや継承の仲介業者に相談する
・仲介業者と機密保持契約を結び料金や継承内容を把握する
・継承できるクリニックの候補を紹介してもらう
・条件の合うクリニックの内見や経営陣との面談を行う
・継承条件などを確認し継承するクリニックを選定する
・デューデリジェンスを行う
・最終調整のうえクリニック継承に関する契約を締結させる
・継承内容に応じて買取価格や成功報酬を支払う
・行政手続きをしてクロージングする

クリニック継承では、クリニックや病院のM&Aなどを専門に扱う仲介会社を利用して進めることが基本です。仲介会社を利用すれば、クリニック継承にあたって必要な手続きや監査のサポートも受けられるため、トラブルを避けながらクリニック継承を進められるでしょう。

クリニック継承のメリットデメリット

クリニック継承することには、メリットとデメリット両方が存在します。ここではクリニックを継承して開業することのメリットとデメリット両方についてご覧ください。

メリット

・クリニック開業における資金を抑えられる
・クリニックの運営方針や収益性が見えやすい
・患者や医療スタッフもまとめて引き継げる

クリニックを継承すれば、ゼロからクリニックを建てて開院するよりも資金やコスト、開業までにかかる期間を抑えられます。すでにクリニックについている患者さんもそのまま引き継げるため、開業直後からまとまった収益も見込めるでしょう。

クリニック継承は、開業を考えているものの資金にあまり余裕がない方におすすめの方法だといえます。

デメリット

・条件に合ったクリニックがすぐに見つかるとは限らない
・診療科目の追加や改装には相応の資金や期間が必要である
・開院にあたって想定外の出費がかかる場合がある

クリニックを継承したくても、規模や診療科目、立地などの条件に合致するクリニックがすぐに見つかるとは限りません。クリニック探しが長期化したり、ある程度の妥協が必要となる場合もあるでしょう。

また診療科目を追加するには別途で資金を投じる必要があったり、思わぬ修繕費や出費が必要となり、想定外の出費に悩まされる場合もあります。想定外の出費がトラブルの元となる場合もあるため、継承するクリニックは慎重に検討することが大切です。

クリニック継承の法律的な手続き

クリニック継承では、法律的な手続きも膨大なため、手続きに手間取らないよう念入りに準備を進めていくことが大切です。ここではクリニック継承において必要な手続きについて、個人クリニックと医療法人に分けて解説します。

個人クリニックと医療法人の継承手続き

個人クリニックの場合は保健所と厚生局に廃止届と開院届をそれぞれ提出することが基本です。診療科目によりレントゲンを使用する場合は、レントゲンの廃止届と設置届も合わせて手続きしましょう。

医療法人の場合は、保健所のほか都道府県や厚生局、法務局などでの手続きも必要なため、必要な手続きは膨大です。手続きに伴い添付書類として準備するべきものも多く存在するため、必要な添付書類を広く把握したうえで、手際よく手配していくことが必要です。

病院開設届や保険診療医療機関の指定申請

診療科目や継承内容に応じて手続き内容は変わりますが、なかでもクリニック継承において、基本的ともいえる手続きが、病院開設届や保険診療医療機関の指定申請です。以上の手続きはクリニックを継承し新たな院長として運営に携わる医師が行う必要があります。

個人クリニックを継承する場合、基本的には既存のクリニックを閉院し、同じ場所に新たなクリニックを開院する流れで手続きを進めます。そのため、クリニックを譲渡する側と継承する側で連携しながら手続きすることが大切です。

クリニック継承の費用と相場

クリニック継承を利用するには、継承にあたって必要な費用相場について把握しておきましょう。クリニック継承にあたって、譲渡する側に支払う価格相場や開業、仲介会社の利用にあたって必要な料金相場について解説します。

クリニック継承にかかる費用

クリニック継承では、以下の費用を用意しておく必要があります。

・譲渡する側に支払うクリニックの買取価格
・設備投資や改装にかかる開業資金
・開院後にかかる維持費や運営資金数ヶ月分
・仲介会社や専門家に支払う手数料や成功報酬

クリニック継承にかかる費用はクリニックの規模などにより変動しますが、3,000万円以上を目安に確保しておく必要があります。クリニックの買取費用の支払いはもちろん、開業資金や仲介会社に支払う手数料や成功報酬も必要なため、余裕をもって資金を確保しておきましょう。

クリニック継承の価格相場

個人クリニックの継承において、譲渡する側に支払う買取費用の相場は2,000〜4,000万円とされています。もちろん立地や経営状態、譲渡する側の院長の考え方や関係性次第で費用は変動するため、綿密な交渉とデューデリジェンスにより、適正な費用を検討することが大切です。

特に親子間での継承・相続をはじめ、クリニック継承では買取費用にあたる費用が必要ないケースもあります。ただし買取費用が必要ない場合も、継承にあたって開業資金や運営資金、継承に関する専門家への成功報酬の支払いは必要なため、資金調達は欠かせないことだといえます。

クリニック継承時の注意点とポイント

クリニックを継承する際は、資金調達だけでなく継承をスムーズに進めるための準備も欠かせません。クリニック継承における注意点やスムーズに交渉するためのポイントについて解説します。

クリニック継承の準備と手続き

クリニック継承において怠ってはいけない準備や手続きとして、以下が挙げられます。

・開業目的や診療科目、診療方針について具体的にしておく
・開業したいクリニックに合わせた必要書類を準備しておく
・利用するクリニック継承の仲介会社や専門家を検討する

特に第三者間でのクリニック継承を考えている場合は、開業するクリニックの診療科目などについて具体的に検討して、自分の考えにマッチした病院を探す必要があります。継承する病院が決まっても開業における行政手続きは膨大なため、医師免許証や保険医登録票をはじめとした手続きに必要な書類をすぐに用意できるよう、準備を進めておくことも大切です。

またクリニック継承では、スムーズにトラブルなく交渉を進められるよう、信頼して相談できる仲介会社を利用することも欠かせません。クリニック継承の際は、継承するクリニックはもちろん仲介会社選びからこだわることで、後悔のないクリニック継承を目指しましょう。

クリニック継承交渉のポイント

・期間に余裕を持って継承について交渉する
・継承する病院の情報や経営状況は念入りに監査する
・譲渡する側の要望や考えは丁寧にヒアリングする

クリニック継承における交渉は、1〜2年かけてじっくりと進めていく必要があります。交渉内容によってはさらに時間がかかる場合もありますが、交渉を急ぐと情報の共有ミスやお互いの考えの相違によりトラブルに発展する恐れもあるため、急がずじっくり交渉してください。

また継承する病院について正しく把握するため、念入りなデューデリジェンスや譲渡する側の院長とのすり合わせ、経営方針に関するヒアリングも重要です。病院の今の運営方針が収益に繋がっている場合もあるからこそ、譲渡する側の要望や運営において大切にしていることも正しく聞き取ったうえで、継承後の病院運営に落とし込むことで、よりスムーズな開業に繋がるでしょう。

クリニック継承で困ったらMMCに相談できます

クリニック継承により、クリニックを開業するコストや時間を大幅に短縮できます。しかし継承においても相応のコストや念入りな交渉、条件のすり合わせが必要なため、スムーズに継承を進められるよう流れを把握し余裕をもって準備しましょう。

またクリニック継承のサポートを受けられる仲介会社を利用することも欠かせません。MMCでは、クリニックM&Aにおける計画提案から経営コンサルティングまで幅広く医療事業者の方をサポートしています。クリニック継承やクリニックの黒字経営にお悩みの方は、ぜひMMCにご相談ください。