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2023-12-10

クリニックの譲渡価格とは?相場と定義や方法・実践まで説明

クリニックの譲渡価格の算定方法や相場は、医療事業を譲渡するうえでまず考えておきたい課題の1つです。双方に理のある形でクリニックを売却するためにも、妥当な譲渡価格を検討したうえで交渉しましょう。

今回は、クリニックの譲渡価格の算定方法や相場価格について解説します。クリニックの譲渡・売却を戦略的に進めるためのコツについても紹介するため、クリニックの譲渡を検討している方はぜひ最後までご覧ください。

クリニック譲渡とは何か

クリニックの譲渡とは、クリニックを運営している事業者や経営者が、別の事業者に営業権や運営権を受け渡すことを指します。クリニックを運営するなかで、後継者がいなかったり経営難に陥って今の運営体制では経営が困難になった場合は、ほかの事業者にクリニックを譲渡することも選択肢の1つです。

クリニック譲渡の定義

クリニックの譲渡(M&A)の定義は、「クリニック経営者が別の経営者に経営権を引き継ぐこと」です。譲渡を選択すれば、今までの運営体制では運営継続が難しく閉院せざるをえなかったクリニックも、別の経営者が引き継ぐことで地域に残り続けます。

譲渡に際してクリニックの設備や従業員も引き継ぐケースも多く、地域への医療提供はもちろんクリニック従業員の雇用を確保できる点も、クリニック譲渡の大きな特徴の1つです。

クリニック譲渡価格の算定方法

クリニック譲渡を検討するうえでまず慎重に考えたいのが、譲渡価格です。クリニック(無床クリニック)の譲渡価格の検討方法にはさまざまな手法がありますが、多くの譲渡やM&Aでは、以下の項目を基準に譲渡価格が算定されます。

・クリニックの施設や土地などの不動産的価値
・譲渡に際して引き継げる設備や従業員の規模
・地域の医療需要や将来性 ほか

クリニックの需要や価値は時期によっても変動するため、基本的には以上の項目を元に、時価純資産額や事業継承に伴う支出を加味したうえで、譲渡価格を算定する必要があります。この方法は時価純資産法とも呼ばれ、クリニックや診療所の譲渡価格を算定するうえでメジャーな手法の1つです。

クリニック譲渡価格の市場動向

クリニックの譲渡価格は各クリニックの診療科目や地域需要はもちろん、交渉内容によっても大きく変動するでしょう。しかし近年では時価純資産法をはじめ具体的な譲渡価格の算出方法を採用するケースが増えてきています。これはクリニックのM&Aや譲渡の件数が増え、M&A仲介会社により適切に譲渡価格が算出されていることが理由の1つです。

また昨今、医療業界では多くの事業者が赤字経営に追い込まれている背景もあります。これにより黒字経営を見込める環境が揃っているか、厳しく算定して譲渡交渉する場合も多く、譲渡価格が高値となるケースは減少傾向にあります。

クリニック譲渡価格の相場

クリニックの譲渡価格の相場は、クリニックや診療所、医療法人の条件により異なります。ここではクリニックの譲渡価格の相場について、条件別にご覧ください。

個人クリニックの場合

個人クリニックや無床診療所の場合、相場は1,000〜4,000万円です。もちろんクリニックの規模や市場での需要により譲渡価格は変動するため、相場をふまえたうえで適切な譲渡価格を算定する必要があります。

医療法人の場合

医療法人の譲渡価格についても、クリニック同様1,000〜4,000万円ほどですが、規模が大きい場合は1億円を超える場合もあります。特に人口が集中している都市圏にあったり、介護事業や高度医療など需要の高まりを見せている診療科目に対応している医療法人は、将来的な営業利益も見込まれ高値が付く可能性が高いでしょう。

クリニック譲渡の成功・失敗事例

クリニックは譲渡交渉が成立したとしても、経営が成功するか失敗するかは、事例により異なります。ここではクリニック譲渡における成功事例と失敗事例をそれぞれ紹介します。

具体的なクリニック譲渡の成功事例とその要因

医療法人Aは、泌尿器科の診療科目を中心に対応するクリニックBの事業を継承する形で譲渡契約を成立させました。元々クリニックBは後継者不足を理由に経営継続が困難に陥っていましたが、譲渡により経営権を医療法人Aに譲渡。これにより従業員の雇用や地域への医療提供を維持したまま、経営権をほかに譲渡することに成功しました。

後継者不在を理由に経営困難に陥るクリニックや医療法人は増加傾向にあります。以上の事例においても、後継者不在により経営継続が困難となったクリニックを医療法人グループが買収する形で譲渡が成立し、クリニックの経営継続に繋がっています。

譲渡成立によりクリニックの後継者不足を解決しつつ、地域への医療提供も継続できるため、将来的な収益性を見込めるものの後継者不足に悩まされている医療法人を買収することは、双方にとってメリットの大きい選択肢であるといえます。

具体的なクリニック譲渡の失敗事例とその要因

クリニックAは地域に根ざした医療機関として、患者からも医療スタッフからも愛されてきた施設でした。しかし慢性的な経営難を理由に院長がクリニックの譲渡を決断し、医療法人Bと交渉の末、譲渡契約が成立。しかし譲渡成立後、医療法人Bは経営再建と業務効率化のため医療現場にITシステムを次々と導入し、現場の働き方刷新を次々と急速に進めます。これにより経営陣と医療スタッフに溝が生まれてしまい、医療スタッフの集団退職に至りました。

譲渡までが順調に進み、医療スタッフや設備の引き継ぎに至ったとしても、経営再建のため現場の働き方を大きく変えてしまっては、現場の医療スタッフからの不信感が募る原因となってしまいます。特に紹介した事例における課題として挙げられることが、現場の働き方を医療スタッフへの同意がないまま急速に進めてしまったことです。

これにより譲渡が成立したとしても、新たな経営方針に納得できず、医療スタッフが離れてしまう原因となるでしょう。経営再建を目的としたクリニックの譲渡やM&Aだとしても、現場の働き方を綿密に調査し現場に寄り添った再建計画を立てることは、クリニック買収において重要なことだといえます。

クリニック譲渡を経営戦略に取り入れる時のアドバイス

クリニックの譲渡やM&Aを戦略的に進めるために押さえておきたいこととして、以下が挙げられます。

・クリニックを譲渡・買収する目的を明確化する
・患者や医療スタッフの環境に配慮する
・譲渡やM&Aに関する仲介会社に相談する

クリニックを譲渡する際は、売り手・買い手双方にメリットのある形で譲渡が成立するよう、譲渡の目的を明確化して交渉することが大切です。また経営陣同士で譲渡が成立しても、経営方針と現場の考え方に相違が出たり、譲渡に伴う経営再建や経営体制の刷新をきっかけに患者に不安や不信感を覚えさせないよう、綿密に現場とコミュニケーションを取ることも欠かせません。

以上のように、クリニックの譲渡交渉では多くの課題が存在するため、譲渡に際して医療法人やクリニックの譲渡・M&Aを専門に対応している仲介会社やコンサルティング会社に、譲渡について相談することがおすすめです。クリニックや医療法人専門の仲介会社を利用すれば、買収・譲渡を検討している医療法人のマッチングのほか、譲渡価格の算定や交渉の仲介、譲渡後の経営再建についても、専門家を通して進められます。

またコンサルティング会社のなかには、経営再建における戦略やアドバイスに対応している場合もあります。医療法人の譲渡・買収を検討しているのであれば、ぜひ仲介会社やコンサルティング会社に相談しながら、円満な譲渡交渉を目指してください。

クリニック譲渡を行う場合に注意すべきこと

クリニックの譲渡には失敗事例も存在するため、注意点を守って慎重に譲渡交渉を進めることが大切です。

・譲渡価格を慎重に検討する
・経営権の譲渡に際する契約見直しや許可申請手続きを進める
・患者の個人情報やカルテを厳重に扱う
・長期的な交渉を見越して譲渡交渉・手続きを進める
・古い建物が現代のクリニック運営基準に合致しているか確認する

クリニックの譲渡価格はもちろん、個人診療所の場合は引き継ぎに際して改めて運営許可手続きを取り直さなければいけない場合もあります。交渉や手続きに時間が掛かる場合もあるため、長期的な計画を立ててクリニック譲渡を進めましょう。

また法令改正に伴い、継承した施設が現行制度では不適格とされてしまう場合もあるため、改修の必要性も加味して譲渡価格を算定する必要があります。クリニック譲渡における注意点も押さえたうえで、双方に理のある譲渡・買収を目指しましょう。

MMCではより綿密に譲渡について相談できます!

少子高齢化や人口減少に伴い、クリニックの後継者不足や従業員不足問題が深刻化し、クリニックの譲渡やM&Aを検討する事業者が増加傾向にあります。クリニック譲渡により、他事業者の経営体制や運営ノウハウを流入しつつ、クリニック運営を継続できるでしょう。

MMCでは、クリニックの譲渡やMMCにおける仲介相談を承っています。豊富なノウハウを持つスタッフが現地に赴いて、経営再建におけるアドバイスや譲渡交渉の仲介も行っているため、クリニックの譲渡・M&Aにお悩みの方は、ぜひMMCのメール相談からご活用ください。

 

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