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M&A
2023-12-10

病院M&Aを行うメリットとは?デメリットと手法も併せて解説

病院のM&A計画には買い手側と売り手側双方にとってメリットとデメリット両方が存在します。近年では病院経営が赤字に陥る医療法人も増加傾向にあるからこそ、慎重にM&A計画を立ててより安定した病院経営に繋げましょう。

本記事では、病院のM&Aに関するメリットを売り手側・買い手側それぞれの視点で解説します。M&Aのデメリットや成功に導くためのポイントについても触れているため、実りのある病院M&Aに導くためのヒントとしてぜひ参考にしてください。

病院M&Aの売り手側のメリット

病院のM&Aは、病院を手放す側である売り手にとってさまざまなメリットがあります。より良い医療提供や経営の安定化を考えている方、病院経営の慢性的な赤字化に悩んでいる方は、以下5つの売り手側のメリットについてご覧ください。

廃院を避けることができる

厳しい診療報酬の改訂や新型コロナウイルスの感染拡大による診療控えをきっかけに、近年では8割にも登る病院が赤字化に追い込まれています※。また少子高齢化の波を受け、院長の高齢化や後継者不足をきっかけに閉院せざるをえない状態に陥っている病院も増えつつあります。

そのためM&Aによりほかの医療法人や病院グループの経営者を招くことは、赤字経営や後継者不足による運営継続の危機から病院を救ううえで非常にメリットのある選択の1つです。

※出典:2020年度 病院・診療所の経営状況(速報)

地域医療がなくならない

医療スタッフの高齢化や後継者不足は、地方ではより深刻です。病院は地域になくてはならない福祉施設の1つですが、病院の人手不足や後継者不足が深刻化すれば、地域への医療提供の根幹を担っていた病院ですら閉院に追い込まれてしまうでしょう。

しかしM&Aにより、地方病院に新たな経営陣や医療スタッフを招き入れることに成功すれば、経営難の課題を解消し地域への医療提供を存続できます。

スタッフの雇用先確保ができる

病院を閉院すれば経営者だけでなく、その病院で働いていた医療スタッフも働き口を無くすことになってしまいます。しかしM&Aを選択すれば、病院経営を存続しつつ経営者は退任を選べるため、医療スタッフの雇用を確保できます。

医療スタッフがM&A後も引き続き病院で働いてくれれば、担当医として罹っていた患者も引き続き利用してもらえる可能性が高まるでしょう。医療スタッフを大切にするうえではもちろん、患者に引き続き病院を利用してもらい収益性を保持できることも、売り手側にとってのM&Aのメリットの1つです。

経営基盤の安定化

豊富な経営ノウハウを持つ買い手とのM&Aが成立すれば、傾きかけていた病院の経営状態を立て直し、安定化させることも目指せます。病院経営は経営の専門家ではない医師が携わることが多いほか、赤字経営に陥りやすいさまざまな要因が存在します。

・医療スタッフや経営者の慢性的な人手不足・診療報酬の度重なる改定と厳格化・円安による設備費や経費の増大・新型コロナウイルス感染拡大による患者の病院離れ

しかしM&Aにより黒字経営に成功している病院経営者のノウハウを導入できれば、病院経営の黒字化や経営基盤の安定化を目指せます。安定した経営を目指すうえで必要なノウハウを流入したり、経営体制を刷新する目的でも、M&Aは非常にメリットのある手段だといえます。

収益の向上ができる

病院をM&Aすることで、豊富な経営ノウハウを持つ経営者を招き入れられるだけでなく、売り手側は病院の評価額に相当する売却益も獲得できます。一般的にM&Aにおける病院の売却益は、病院の資産や不動産的価値、引き継げる施設の価値などをもとに算定され、規模の大きな病院では1億円を超える場合もあります。

病院M&Aの買い手側のメリット

病院のM&Aには買い手側にもさまざまなメリットがあり、新規で病院を開院するよりもメリットの多いM&Aが成立する場合も多く存在します。病院M&Aにおける買い手側のメリットについて、以下から詳しく解説します。

事業拡大

M&Aにより既存の病院施設を引き継げれば、新規で病院を開院するよりも資金や期間を抑えて事業拡大できます。特に病院グループを展開している医療法人では、M&Aによる病院買収を積極的に行っており、資金や期間を抑えながら着実に病院数を増やしています。

買収により新たなエリアに病院を展開でき、全国各地で広く病院経営できるため、買い手側企業が病院グループとしての基盤を安定化させる点でも、病院のM&Aは有効な手段の1つです。

人材の確保ができる

病院のM&Aが円満に成立すれば、売り手側病院で働いている医療スタッフや事務スタッフをそのまま引き継げます。院内で高い評価を得ている優秀な医療スタッフは、病院への定着率が高く新規で求人を掛けても応募しない方が少なくありません。

しかしM&Aにより病院ごと医療スタッフの雇用も引き継げれば、優秀な医療スタッフや事務スタッフの雇用にも繋がり、優秀な人材の確保も目指せるでしょう。

患者さんへの地域医療提供の継続

M&Aが成立して病院をそのまま引き継げれば、地域患者への医療提供も継続できます。地域患者への医療提供を存続できれば、売り手病院に罹っていた患者が医療提供の場に悩む必要がなくなるだけでなく、買い手側が収益性を確保するうえでも重要なことです。

過疎化や高齢化が進んでも医療需要はなくならないからこそ、地域患者への医療提供の場を存続し引き継げることは、買い手側にとって大きなメリットです。

新規開業より楽に事業を開始できる

病院のM&Aが成立すれば、新規で病院を開業するよりも予算・時間・手続きなどあらゆる観点から見て負担を減らせます。施設や雇用を引き継ぐことでの予算や時間の削減はもちろん、開院における複雑な手続きや自治体への許可申請にも、膨大な時間が掛かります。

特に病院運営では自治体の認可が不可欠ですが、病院を建てたい地域の医療計画に沿った病院でなければ認可が下りません。しかし既に開院している病院をM&Aにより買収すれば、地域の医療計画に沿った病院をそのまま引き継ぐことができ、規制のリスクも減らせます。

病院M&Aを行うデメリット

病院のM&Aは売り手側にも買い手側にもメリットの多い選択ですが、一方でM&Aにはデメリットも存在します。トラブルのないM&Aを成立させるためにも、病院M&Aにおけるデメリットも把握したうえでM&A交渉を慎重に進めましょう。

医療サービスの質の低下

M&Aにより病院経営を引き継いだとしても、運営体制から医療提供の方針まで、全く同じ内容を継続できるとは限りません。サービス内容を変えなければ運営が立ち行かなくなったり、経営者の入れ替えにより医療スタッフへの対応や人事に変更が生じる場合もあります。

また病院をそのまま引き継いだとしても、医療スタッフや患者との信頼関係を構築することは、どのようなケースでもゼロから始めなければいけません。これが医療サービスの質の低下や医療スタッフ・患者の不信感に繋がる場合もあるでしょう。

病院をM&Aする際は、経営陣同士でM&Aにおける条件を念入りにすり合わせることはもちろん、医療提供の質を落とさないため、現場の医療サービスや医療スタッフ・患者との連携も欠かせないことだといえます。

買い手の見付からない可能性がある

病院をM&Aするかどうかは、あくまでも買い手側が決断することです。そのため売り手側は早く病院を売却したいと思っていたとしても、買い手が見つからずM&A交渉が進まない場合もあります。

買い手が見つからない原因には、収益性や将来性が見出せないことや、売却における条件が非常に厳しいことが挙げられます。そのため病院のM&A(売却)を考えているのであれば、収益性や将来性が見込める病院であることを買い手側にアピールすることはもちろん、黒字経営が見込めるよう経営再建の手立てを検討していくことも大切です。

病院M&Aで買収する時の流れ

病院をM&Aにより買収する基本的な流れは以下の通りです。

・病院M&Aを専門とする仲介業者に買収について相談する・仲介を経て買収する医療法人を選定する・機密保持契約を交わした上で買収における詳細な条件を交渉する・病院の買収価格や収益性・価値について具体的に検討する(デューデリジェンス)・さらに交渉を詰めたうえでM&A契約を締結させる(クロージング)

病院をM&Aする際は、交渉前はもちろん交渉中も、買収先の病院の価格や収益性・将来性について慎重に評価し買収するか検討していく必要があります。そのため交渉や評価額の算定1つを取っても数ヶ月単位で時間が掛かる場合もあるでしょう。

病院を買収する際は、基本的なプロセスに沿って交渉を進めながら、双方にとってメリットのあるM&A契約を締結してください。

医療法人M&Aにおける基本的なスキームはこちらで詳しく解説

病院M&Aのメリットが大きいと感じたらMMCで具体的な手法を相談しよう!

病院のM&Aには買い手側・売り手側双方にメリットがありますが、メリットの大きいM&A契約を締結できるかどうかは、慎重な交渉と適切な買収価格の算定に掛かっています。またM&Aが締結し病院を引き継いだあとも、医療スタッフや患者が安心して過ごせる病院として運営するため、信頼関係を築いていくことも欠かせません。

病院M&Aを成功させるには膨大なプロセスが必要であるため、仲介業者を利用して慎重に進めていくことがおすすめです。MMCでは、病院M&Aの仲介から病院経営の立て直しまで、幅広く相談を承っています。双方にメリットの多い病院M&Aを成功させたいと検討している経営者の方は、ぜひメールフォームからご相談ください。

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