ハンズオン支援部の大工原です。
前回に続き2021年度介護報酬改定についての後半、
「科学的介護情報システム(通称:LIFE)」に基づく、「科学的介護推進加算」、「自立支援促進加算」についてお話させていだきます。
2021年度の介護保険報酬改定で初めて、科学的介護の理解と浸透を図る観点から「科学的介護情報システム(通称:LIFE)」に基づく、「科学的介護推進加算」が新設されました。
「LIFE」の目的としては、「科学的に効果が裏付けられた自立支援・重度化防止に資する質の高いサービス提供の推進」とされ、介護サービスのPDCAサイクルと質の向上を推進することとされています。
解釈に誤解があるかもしれませんが、以下の2つを国は明記して求め出したものだと解釈しています。
以上は、介護保険制度としては「アセスメント」、「処遇改善加算」等を算定するなかで今までは明記せずに求められてきていましたが、今回の介護保険報酬改定で初めて明記されただけですので驚くことではありません。
ただし、今回新設された加算のなかで解釈と算定について特に注意をしなければならない加算は、
「自立支援促進加算」です。
「自立支援促進加算」の算定要件には以下の4つのキーワードがあります。
考え方としては、今までの「施設都合の介助」から「お客さまの生活スタイルにあわせた介助」へと変わります。
例えば、
施設では食事時間が決まっていますので、お客さまが自宅で食事をしていた時間に合わせる事ができません。お客さまは施設へ入居した瞬間から、自宅で食事をしていた時間は無視され、施設の食事時間に合わせなければなりません。
また、居室にトイレのない施設へ入居すると、自宅では普通にトイレを使っていたお客さまでも、共用トイレまでが遠く時間がかかってしまい、失敗してしまうこともあります。
施設側としては、職員数が足りない、感染対策で手が回らない等の言い分があることは国も承知をしています。ただし、この先数年後には更に介護職員の確保が難しくなりますし、高齢者の人口が増加します。その時に、「介護職員が行う」ことだけに依存した法人に介護職員は集まるのでしょうか。
国は遅くとも6年以内には「LIFE」を根付かせることを考えていますので、今回は「大きな節目」となる介護保険報酬改定となりました。
(参考文献)
令和3年3月16日 厚生労働省老健局老人保健課「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について」
https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2021/0317104150569/ksvol.938.pdf
厚生労働省 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken_129155.html